blog ブログ

気密測定に行ってきました。

こんにちは、営業の桑名です。

最近よくお客様から尋ねられる「気密性」、実はこれ「換気」と「熱損失」に大きく関係しています。

計画換気では家じゅうの空気を1時間に0.5回換気すると計算しますが、隙間が多いほど外の風や内外温度差によって換気量(=自然換気回数)が増してしまいます。

屋内が負圧となる3種換気の場合は、新鮮空気を導入したいはずの給気口から入らず厄介な隙間風が増し、不快な冷えや結露、臭い・湿気籠りに繋がります。1種換気の場合は、計画換気量のほかに熱交換されない自然換気が加わり、省エネ性が悪化してしまいます。

このように、きれいな空気や省エネ性を保つために避けて通れない気密性ですがこれを工事するのは大変です。気密を意識した設計、現場での丁寧・確実な作業の積み重ね、そして欠かせないのが気密測定。先日お施主様ご依頼で気密化工事を施したお宅の中間気密測定に行ってきましたのでその様子をご紹介します。前の週に福田温熱空調さんに現場チェックしていただき、職人さんや現場監督で懸命に気密作業を進めた成果の試される一日だったのですが、今回お施主様より許可をいただきましたのでその時の様子を紹介させていただきます。

建物仕様は、お施主様ご自身で断熱・気密を詳しくお調べになって大変こだわったものになっています。

<断熱・気密仕様の概要>
屋根断熱:硬質ウレタンフォーム(アクアフォームNEO)吹付け120㎜
壁断熱:セルロースファイバー(セルファイ)吹込み120㎜+可変透湿気密シート(VCLスマート)内張り
基礎断熱:ポリスチレンフォーム3種b(ミラフォーム)50㎜内張り
サッシ:樹脂サッシLow-Eペアガラス、アルミ樹脂複合サッシLow-Eペアガラス

ちなみに前の週はこんな感じでセルロースファイバーの工事中、ウレタンはまだ未施工でした。

まず気密測定を始める前、換気ダクト、エアコン配管、電気配線、給排水管、ベタ基礎の水抜き孔など目的をもって開けた孔を目張りしながら各所の状況をチェックして回ります。これらの貫通孔は予め周囲を気密処理しているはずなので、孔自体を目張りし通気を止めることで周囲の気密処理部に漏れがないかを確認するためです。

第一種熱交換型換気システム(sumika)や同時給排レンジフードの給排気口やユニットバス換気扇用のスリーブなどは外部または内部からテープで目張りします。

電気配線用の鞘管やエアコンのドレイン管もテープで目張り、ベタ基礎の水抜き孔はウレタンやモルタルで塞ぎます。

サッシは外部からテープで気密防水処理されています。

屋根は30倍発泡のウレタン吹付けで断熱・気密・防湿、壁はセルロースファイバー吹込みに可変透湿気密シート内張りで防湿気密しています(VCLスマートは半透明なのでCF吹込み用の不織布が透けて見えています)。基礎はポリスチレンフォームⅢb内張りです。

胴差と剛床合板、梁回りは伝い漏れしやすいとのことでテープやウレタンコーキングで処理壁の可変透湿気密シートと剛床合板もテープ処理します。

外周面のコンセントボックスは、気密バリアーボックスを使い気密防湿シートとテープ処理します。配線のバリアーボックス貫通部もわずかに漏気するので器具付け時にはコーキング処理します。

コンセントやスイッチがたくさん集合する箇所などは、スペースが許せば個々にバリアーボックスで処理するより、壁を付加して配線層を作り気密防湿層を破らない方法も有効です。

さあ、ひととおり目張りとチェックがすんだら気密測定の開始です。お施主様も現場監督や職人さんたちも内心ドキドキだったことでしょう。

結果は、、、

C値0.1c㎡/㎡(小数第2位までだとC=0.12)
この家じゅうの隙間を集めると24c㎡ですからおよそ名刺の半分ほどです。
n値(隙間特性値)も1.17なのでどこかに隙間が偏って残っているわけでもないようです。(n値とは1~2で表され1に近ければ小さな隙間が散らばっている状態、2に近ければどこかに大きな隙間がかたまって残っている状態と想像されます)

福田温熱空調さんのすごいところは、ここからまだ隙間を探す手伝いをしていただけるのです!圧を掛けたまま皆で安全に気を付けながら怪しいところを探るのですが、まるで宝探しかのようです。

火打ちと野地の間に漏気が。福田さんによると、どうやら30倍発泡のウレタンは100倍発泡のものよりも奥に入り込む圧が弱いのではないかとのこと。ウレタンガンで隙間を塞ぎます。

下屋取り合いは要注意。高いところで見逃されていましたがここもウレタンガンで処理。ガンのノズルが入らない梁と梁の間はテープで処理しました。

玄関土間周辺、写ってませんが玄関ドア枠との取り合いはウレタン処理しました。

小一時間ほど探し回ったでしょうか、さあ2回目の測定です。

隙間面積20c㎡、先ほどより4c㎡も小さくなりました!C値は記録上0.1c㎡/㎡ですが小数第2位だと0.10c㎡/㎡、n値も1.08まで改善できました。

今回はまず、お施主様が熱意と予算を掛けられ気密化工事を実現されました。これまで弊社ではここまでの気密化工事は手掛けていませんでしたが、今回機会をいただき大変有用な経験を積ませていただき感謝申し上げます。

これまでチューモクでは標準仕様としての気密性能を示していませんでしたが、今後はウレタン吹付による気密化工事の場合原則C=0.5c㎡/㎡以下を標準と決めました。セルロースファイバー吹込みの場合は、気密防湿シート内張り等の別途気密化工事を施すことでC=0.8c㎡/㎡程度が実績値ですが今回の経験を踏まえより改善できるでしょう。

暮らしの質を高めるうえで住宅の気密を見直していきましょう。